2012年08月01日 07:01
アメリカ軍が沖縄への配備を進めている垂直離着陸輸送機「MV-22 オスプレイ」の搭乗取材が報道陣に許可されました。
公開の狙いなどについて、取材した勝又隆幸記者の報告です。
(乗ってみた率直な感想は?)
30分程度のテストフライトだったんですが、基本的に、飛行機とあまり変わらないような乗り心地でした。
ただ、時折、回転翼の向きを変えまして、急激に上昇していく場面がありまして、そのときには、頭のてっぺんを上に引っ張られるような、乗ってみたことはないんですが、ロケットの発射のときは、こんな感じかなという強い重力を感じました。
一方で、ぜひ今回体験してみたかった、垂直の方向に上がっていくヘリコプターモードでの離陸と、そのあとの固定翼機モードへの切り替えは、今回行われませんでした。
ひょっとしたらリスクを回避して今回は見送ったのかもしれません。
(切り替え時が一番安定性を欠くといわれている。その部分は、今回報道陣としては体験できなかったということ?)
そうですね、離陸の際には、その動きは体験することはできませんでした。
着陸の際には、固定翼機モードからヘリコプターモードになって着地という動作を確認することができました。
その際には、バタバタしたりとか、不安定な動きをすることは見られませんでした。
(今回、多くのメディアを乗せたが、こういう状況下で、特に日本側のメディアに配慮したということはある?)
およそ20人が機内に乗っていたんですが、実に、その半数近くが日本のメディアでして、アメリカ軍、それからボーイング社としても、日本のメディアに安全性をアピールしたいという狙いはあったようにも思われます。
一方で、フランス、イタリア、カナダ、韓国などのメディアも乗っていまして、カナダの記者に話を聞くことができたんですが、国内でオスプレイを救助ヘリとして導入を検討しているということで、その性能に関心を持って、今回、取材に来たというふうに話していました。
筆者がデモ飛行を見た限り、オスプレイの騒音のレベルは自衛隊も保有する大型ヘリ、CH-47チヌークなどに比べて小さいように思えた。ただ搭乗した人間からは機内の騒音はかなり厳しく、ヘッドセットのマイクを使わないと意思の疎通が難しく、騒音の質もヘリコプターなどと異なる、とのことだった。
校庭のすぐそばでホバリングをする米軍ヘリ。子どもたちの多くは「飛行機より、ヘリコプターの音の方が嫌い。ずっと続くから」と話す=3月、普天間第二小学校
【宜野湾】ヘリが自宅からわずか400メートル先の上空でとどまる。バタバタと激しく空を切る音が15分ほど続き、家族との会話がままならない。「早く行ってほしい」と耐えるが、3機が次々とやって来て、騒音が長引くこともある。航空機の騒音は離着陸によるものだけではない。このようなホバリングや、地上でのエンジン調整は普天間飛行場で日常的に行われている。普天間飛行場周辺を歩いた。
普天間飛行場の周辺住民は「離着陸に伴う騒音より何倍も被害は大きい」と口をそろえる。「これでオスプレイが来たらもっと騒音がひどくなる」とも。
だが、国は、普天間飛行場の代替施設建設に向けた環境影響評価書(アセスメント)に、普天間飛行場でのホバリングやエンジン調整音などの騒音の実態を反映させなかった。
ホバリングの音やエンジン調整音は長い時間続く分、とりわけフェンスに近い住民にとって精神的な負担も大きい。飛行場近くに住む呉屋信栄さん(62)=宜野湾市喜友名=は「離着陸の(騒音の)比じゃない。ホバリングは音が続くから、数倍も騒音公害は大きい」と語る。訓練は午後9時をすぎることもあるという。
騒音が響く間、テレビが聞こえず家族との会話がままならない時間が続く。呉屋さんは「(離陸時のように)飛んで行ってしまえばまだいいが、精神的にもいらいらする。会話も愚痴っぽくなってしまう」と苦い表情を見せる。
同市新城の普天間第二小学校はエンジン調整音がほぼ毎日、1、2時間続くという。授業は中断できないので、騒音の中で続けている。川村和久校長は「とにかく長い。授業に与える影響は大きい」と話す。離着陸に比べ、音が長いホバリングやエンジン調整の音は「まったく別の騒音問題だ」ときっぱり。こうした状況に「慣れているわけではない。不快に感じながら耐えている状態だ」(増田健太)
今回1回の試乗ですべてがわかったとは言いませんが、一部に言われているような、オ スプレイが極めて危険であるというような印象はありませんでした。騒音については、2 月に米側がオスプレイの騒音や低周波音についての調査結果を出す予定ということですの で、その結果を見て、疑問点があれば提起するとともに、運用面でどのような工夫ができ るか考えていき、私なりの考え方を最終的に判断していく必要があると考えています。特 に、普天間飛行場への配備に関して言えば、タッチアンドゴーの訓練がどこまで減らせる かがポイントになると考えます。
オスプレイについては、安全性や騒音といった問題についてさまざまな情報が飛び交っ ています。しかしながら、今回実際に試乗してみて、少なくとも、現行の機種と比較して 性能面では明らかに向上していますし、安全性や騒音についても十分問題ないレベルにあ るとの印象を持ちました。